『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』

木野 親之著
『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』
   ―この時代をいかに乗り切るか―
12月11日  「夢は自らつくる」
 幸之助の信条は、自分の力でものごとを決めることでした。
 よく「経済と経営は違う」と言っていましたが、
 経済に影響を受けるのは、人頼りの経営だと考えていたようです。
 よく先延ばしをする経営者がいます。
 来年の景気が良くなるから、来年に延ばそうというような考えです。
 すると決まって幸之助は、
「その考えが甘いんや!自分の夢は自らが創るもんや。
 人を頼りにしたら明かん」
 と厳しく注意していました。

『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』

木野 親之著
『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』
   ―この時代をいかに乗り切るか―
12月10日  「明るい方から見る」
「木野君な、ものごとが起きたとするやろ、起きた事実は一つや。
 明るい方から見るか、暗い方から見るかで、
 一八〇度ものごとは変わるんやで。
 どっちから見た方が、成功すると思う」
 幸之助はいつも質問してきました。
 この質問は、鍼灸師宅で、針治療をしながらの時でした。
 一つのものごとでも、多面的に見る事が大事だと教えられたものです。

『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』

木野 親之著
『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』
   ―この時代をいかに乗り切るか―
12月9日  「世話好きにならんとあかん」
 幸之助は、縁と恩を大事にしました。
 それだけに人間の心に敏感でした。
「木野君な、自分が成功しようと思うたら、
 先ず世話好きにならんとあかんで、
 人間は与えたものしか返ってこんのや」
 指導者の条件は、面倒見の良い人になることだと教えられました。

『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』

木野 親之著
『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』
   ―この時代をいかに乗り切るか―
12月8日  「泥棒も三分の利」
幸之助は叱り方の名人でした。
時には、顔を真っ赤にして烈火の如く叱っていましたが、
人間を叱ったりものごとを叱ったりしません。
「君のこのやり方は、松下経営理念に沿っていない。
経営理念に沿って仕事をして、初めて仕事というんや。
君は仕事をしてへんやないか」
相手を叱るとき、泥棒にも三分の利があると心がけ、心
の中で許しながら叱っていました。

『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』

木野 親之著
『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』
―この時代をいかに乗り切るか―
12月7日 「自ら断崖の淵に立て」
不景気になると、もうだめだとあきらめる人がいます。
幸之助は、長い人生の中で五度の逆境を体験しています。
「まわりの影響でじわじわと断崖に追い詰められたら、どん
な人間もいい考えは浮かんでこん。断崖の淵に自らの意思でたつんや」
自らを追い詰めて断崖の淵に立てば、そこから独創性が生
まれてくるのです。