日本創生の心に立ち返り実践普及に邁進しよう

倫理法人会は三月一日より、平成二十六年度
の後半戦がスタートしました。
全国の各会におかれましては、これまでの半
年間、それぞれの方針に則って様々な行事や活
動に取り組んでいただきました。その成果はい
かがだったでしょうか。
『倫理法人会規定』の第四条に、「本会は、前
条の目的を達成するため、年度活動方針に基づ
き次の諸活動を行なう」とあります。
その目的とは、「実行によって直ちに正しさ
が証明できる純粋倫理を基底に、経営者の自己
革新をはかり、心の経営をめざす人々のネット
ワークを拡げ、共尊共生の精神に則った健全な
繁栄を実現し、地域社会の発展と世界の平和に
貢献する」です。すべての行事や活動はあくま
で、弊会の目的実現のために開催されるもので
なくてはなりません。
会員諸氏は、「縁があり純粋倫理の学びに触
れ、さらに実践することによって自らが変わり、
社員が変わり、会社や家庭が良くなった」とい
う喜びを、行事や活動を通して一人でも多くの
経営者に伝え広めていくことが肝要です。
「普及」とは〝広く一般に行き渡ること〞また
〝行き渡らせること〞です。「良いことは人に
すすめるべき」なのです。
自身の悩みが解消し、生活が改善され、会社
や家庭が良くなり幸せになったというだけで
留まっていてはなりません。自らの体験を伝え、
純粋倫理を実践する人が一人でも多くなるこ
とで、世の中を確実に良い方向へと導いていけ
るのです。地道な取り組みではありますが、こ
れが倫理法人会の目指すべきありかたです。
A社長は社員に対して、仕事に取り組む心構
えや職場人としての姿勢などを口やかましく
指導していました。しかし社員が一向に、素直
に耳を傾けてくれず悩んでいました。
ところが、倫理法人会に入会し日々勉強を深
めていくうちに、その原因がはっきりとわか
ってきたのです。それは自分自身が先代社長に
同じような事柄を言われながら、「うるさい社
長だな」と全く聞く耳を持たなかったことです。
そして、最も欠けていた点が、社員には変わ
ることを求めながら、自らは何も実践せず何も
変わっていないことでした。
A社長は「社員に強要する前に自ら動く」と
心に決め率先して実践に取り組みました。その
後、社員が見事に生まれ変わり、会社の実績も
上向いてくるようになったのです。
そして現在A社長は、週に三日、仲間と共に
純粋倫理の普及のため会社訪問を続けていま
す。自らの喜びを伝え、新たな出会いを楽しむ
とともに、多少なりとも世の中のお役に立てる
日々に感謝の気持ちを深めています。
「人のいのちは、いつか終る、どれほど惜し
んでも必ず終る。…終って後の世に残るもの
は何だ、金か、物か。そのようなものは、時
の流れの中にはかなく消え失せよう。百年、
人が記憶し、語り継ぐのは、何をこころざし、
惜しきいのちを費やして遂げんとしたか、そ
の行跡しかないのだ」
(『四十七人の刺客』池宮彰一郎著)
年度後半戦にあたり、日本創生を念じ、日々
実践普及に邁進することが、倫理法人会の使命
であると再確認しましょう。

『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』

木野 親之著
『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』
―この時代をいかに乗り切るか―

3月22日 「終わりなきマラソンと思うか」

終わりなきマラソンと思うか、夢多き新しい発見の旅路と考えるかで、
大きく人生は変わります。

自分でなければ、咲かせることの出来ない花を、自分らしく咲かせき
っていく。これが幸之助の信念でした。
「幸せを自分と他者に与えていく、王者の誇りを持て」と幸之助に諭さ
れました。

人生は夢多き新しい発見の旅なのです。

肉体が発する声に真摯に耳を傾ける

三月は季節の変わり目です。気温の変化が顕著で、体調を崩す人も少なくないようです。体調を崩した時には、「病気は自然の注意」と前向きに受け止めて、健康管理がずさんになっていないか、食事のあり方はどうか、生活が不規則になっていないかなど、自身の生活を誠実に振り返りたいものです。
併せて、心の状態にも目を向けましょう。人に対して腹を立てていないか、嫌々ながら働いていないか、家庭の問題をそのままにしていないかなど、マイナスな感情を心に溜めておくと、それは体に表われます。なぜなら、肉体は心の象徴だからです。
「頭が高い」「腰が低い」「鼻高々だ」といった言葉は、それぞれ「横柄である」「へりくだっている」「誇らしい」という様を表現しています。これらの言葉は、心の様相が肉体に連なることを表現しています。
女性ファッションモデルのFさんは、ある日の朝、いつものように起きると声が出ないことに気がつきました。後日、それが「失声症」という病気だと知り、倫理研究所研究員に倫理指導を受けることにしたのです。筆談で状況を説明すると、研究員は「声が出なくなった前日、何か腹を立てるような出来事がありませんでしたか?」と彼女に聞きました。
Fさんには、ひとつ心当たりがありました。両親と喧嘩をしたのです。Fさんはその日、結婚を決めた男性を両親に紹介し、結婚の意志を告げたのですが、両親は結婚に反対をしました。男性は当時、無職であり、彼女のほうもモデル業をしているとはいえ、いつまで安定した収入が続くか分からない状態です。そのため「彼が就職するまでは結婚は認められない」という言い分でした。
そのことをきっかけに両親と激しい口論となり、喧嘩をしたまま寝床に就くと、その翌朝から声が出なくなったのです。
その事実を研究員に伝えると、「その時にFさんは、もう両親と口を利きたくないと思ったのではないですか? そのことを肉体が表わしているんですよ」と言いました。そして「ご両親が結婚を反対したのも、Fさんの幸せを思ってのことですから、まずはご両親の話をしっかりと聞いて、そして謝罪をしてください。ただし、今のあなたは声が出ないから、手をついて心の中で『お父さん、お母さん、わがままな娘でごめんなさい』と唱えてください」と言葉を続けたのです。
Fさんは早速そのことを実践しました。両親の前に手をつき、頭を下げ、心の中で謝罪の言葉を唱えようとすると、「お父さん、お母さん、わがままな娘でごめんなさい…」という言葉がハッキリと口から出たのです。
その後、Fさんはその男性と結婚をすることとなります。両親と話し合った上で、「彼が就職するまで結婚しない」ということを決めた途端、男性の就職が決まったのです。
結果として、彼女は声が出なくなったおかげで、両親と冷静に話し合うことができ、円満な結末を迎えられました。失声症が「両親と仲直りをしなさい。そうすれば結婚も良い方向に向かいますよ」と教えてくれたのです。
「汗」は体温調節、「発熱」は殺菌など、肉体のすべての営みは、その人を良くするために行なわれています。病気もまた、その人を正しい生活へと引き戻してくれる、ありがたい大自然からの注意です。感謝して受け止め、明るい心で生活をする時、必ずや肉体は自然に回復の方向へと向かっていくでしょう。

『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』

木野 親之著
『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』
―この時代をいかに乗り切るか―

3月21日 「事業はなんの保証もない」

事業は不連続線、何の保証もありません。
だからこそ希望に満ちた明日へと繋ぐ、連続線にするのが
経営です。偉大な成功は、真剣に行動する、その一歩から
始まるのです。
自分の可能性を信じ抜くところから、困難を乗り越える力が
生まれてくるのです。
その時初めて、成功の扉が開くのです。
幸之助はなんの保証もない事業を日々新たなものとして
花を咲かせ続けたのです。

喜んで心を配る働きがお客様の感動を呼ぶ

『職場の教養』のテーマは「溌剌とした仕事ぶり」であり、二十二日は「心を配る」です。この二篇の内容には、共通するものがあります。
「溌剌とした仕事ぶり」では、「一人の挨拶や仕事ぶりが周囲の先輩や同僚に自然と影響を与え、職場が溌剌とした雰囲気に変わるものである」として、基本的かつ必要な起居動作について記されています。
「心を配る」では、「明るく心を配れる人は、周囲から喜ばれている」との内容で、心配りの大切さをポイントとして指摘しています。
A氏が出張した際に利用したホテルでの出来事です。二日連続の出張で、翌日は移動することになっていました。移動に新幹線を利用することもできますが、ローカル線を利用しようと考えていました。
 出発時間と到着時間を調べるために、ホテルのフロント係に「JRの時刻表を貸してください」と依頼。A氏はその時間をメモするために、手帳とペンを取り出して時刻表を待っていました。
すると「お待たせいたしました」と差し出された時刻表と共に、なんとメモ用紙とペンが用意されているではありませんか。これを見たA氏は、大きな感動を覚えました。〈お客様は必ず時間をメモするだろう〉というフロント係の心配りに対する感動です。
翌日も別のホテルで感動的なことが起きました。その日は、得意先とホテルでの待ち合わせでした。フロントでチェックインを済ませたA氏が「どこで待とうか」とロビーを見回していると、フロント係が「お客様、どうなさいましたか?」と聞いてきました。「待ち合わせをしようと思いまして」と言うと、「あちらの場所ですと正面玄関がよく見えます。お掛けになってお待ちになられてはいかがでしょう」と案内をしてくれたのです。
A氏は「感動的な応対に接し、自分の気持ちまで清々しくなって、二日間とも仕事が順調に進んだ」と周囲に語ったようです。
 どの業種においても、お客様に満足を与えることは、事業商売の基本中の基本です。社長を筆頭に、全社員が「常にお客様に満足を」という信条のもとに仕事に携わることで、冒頭に記した「溌剌とした仕事」および「心配り」に繋がるのです。
 倫理研究所理事長・丸山敏秋編著の『倫理経営原典』に、「喜んで仕事をすれば事はスラスラ運ぶ―「喜ぶ」ということは、目の前に起こった事に、明るい心の光を投げかけることである。出会ったものに、温かい心のうるおいを注ぎかける事である。(中略)喜んで仕事にかかると、機械に油をさしたように物事がすらすらと運ぶ。喜んで人に応接すると、難しいことでも、すらすらと片づく」とあります。
まずは経営者自身が仕事に喜んで取り組み、社員やお客様に対して温かく潤いの心を持つことです。そこから自らの企業が喜働集団となり、「顧客満足度」を高めることにつながり得るでしょう。