川口雅昭氏編 致知出版
『吉田松陰一日一言』
―魂を鼓舞する感奮語録―
「大才能の人は」
君子の人を教ふるは、人君の人を用ふると異なることなし。
人を用ふるの法、大才能の人は始めより大任重職を命ず。
而して其の人亦自ら奮厲し、大いに其の忠思を舒ぶること、猶ほ時雨の化するが如し。
若し大才能の人を瑣事賤役に役使すれば、其の人必ず厭怠して之れが用たらず。
教も亦然り。 安政3年5月29日「講孟劄記」
【訳】
心ある立派な人が人を教えるというのは、殿様が人を任用することとちがいはない。
人を任用する方法は、すばらしい才能をもっている人には、
最初から大きな低務や重 要な職を命じる。すると、
その人は更に自分から発奮して、大いに(殿に対する)忠なる思いを発揮するであろう。
それは、時雨が自然に天地の万物を生じ育てること と一緒である。
もしも、すばらしい才能をもった人をつまらない仕事や使役などに使えば、
その人は必ず嫌気を起こし、役に立たなくなってしまう。人を教えるということもまた同様である。