『吉田松陰一日一言』

川口雅昭氏編  致知出版

『吉田松陰一日一言』

―魂を鼓舞する感奮語録―

「千古一道」 

四目を明にし、四聡を達すとは、古聖の明訓なり。而して其の道二あり。天下の賢能に交はり、天下の書籍を読むに過ぎず。(中略)有志の君、千古一道、要は目を明にし聡を達するに帰すると、ひそかに感嘆し奉る所なり。  嘉永6年8月「将及私言」

【訳】

広く四方の事物を見聞し、広く四方の万民の意見を聞いて、君主の耳に意見が入るのをさまたげることのないようにせよ、とは昔の聖人の立派な教えである。そして、そこに至る方法は二つある。広く賢者と交際すること、そして、広く読書をすることである。(中略)志のある君主たる道、それはいつの世にも一つであり、不変である。要点は見聞を広め、人々の意見を聞くことである、と。人知れず、感心し褒めたたえています。

『吉田松陰一日一言』

川口雅昭氏編  致知出版

『吉田松陰一日一言』

―魂を鼓舞する感奮語録―

「尽く書を信ぜば」 

孟子言へるあり、曰く「尽く書を信ぜば則ち書なきに如かず」と。  弘化4年9月晦日「平内府論」

【訳】

孟子が次のようにいっている。「書(『書経』のこと)の内容をことごとく信じるならば、却って(人としての道をそこなうこととなるので)書かない方がましである」と。

『吉田松陰一日一言』

川口雅昭氏編  致知出版

『吉田松陰一日一言』

―魂を鼓舞する感奮語録―

「自ら四時あり①」 

吾れ行年三十、一事成ることなくして死して禾稼の未だ秀でず実らざるに似たれば惜しむべきに似たり。然れども義卿の身を以て云へば、是れ亦秀実の時なり、何ぞ必ずしも哀しまん。何となれば人寿は定りなし、禾稼の必ず四時を経る如きに非ず。

【訳】

私は今三十歳で人生を終わろうとしている。いまだ、一つとして物事を成し遂げることなく死ぬのであれば、これまで育ててきた穀物が成熟しなかったことに似ているので、惜しむべきかもしれない。しかし、私自身の人生からいえば、稲の穂が成熟して、実りを迎えた時なのである。どうして悲しむことなどあろうか。ありはしない。なぜなら、人の寿命はこうだという決まったことはない。つまり、穀物が必ず四季を迎えて成熟するようなものではない。

『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』

木野 親之著
『松下幸之助に学ぶ 指導者の365日』
―この時代をいかに乗り切るか―

6月19日 「可能性に限界はないのです」

まだまだ良い方法がありはしないかと、考えれば
考えるほど、必ず新しい工夫が生まれ進歩が
生ずる。これは幸之助の日常生活の姿です。

考えて、考えて、考え抜くところに、新しい道が
開かれてくるのです。

経営理念に祈り抜くことが、なによりも大事
なのです。

可能性に限界はありません。

『吉田松陰一日一言』

川口雅昭氏編  致知出版

『吉田松陰一日一言』

―魂を鼓舞する感奮語録―

6月19日 「君子小人並びに服するの人①」

 

君子に二等あり。高尚の士は固より流俗に同じうせず、汙世に合せず、嘐々然として古人を以て師とす。此の人の世に居る、俗人庸夫其の奇怪に駭き、口を交へて唾罵す
るは固よりなり。而して独り有識の士のみ深く是れを推服す。

【訳】

心ある立派な人に二種類ある。その一つは高尚の人、つまり、学問・言行などの程度が高く、世俗を超越した気高い人物である。このような人はくだらない世間に同調せ
ず、濁世に合わせず、志を大きくもって、昔の心ある人物を師としている。このような人物がいると、俗人や凡庸な人物は、その、常識では考えられない言動に驚き、そ
ろって非難することは、いうまでもない。しかし、学問があり見識の高い人物のみは、このような人物を、心から偉い人として推し、心服するのである。