日々私たちの身の上には様々なことが起こるものです。
辛いこと、苦しいことには遭遇したくないものですが、逃げずに正面から受け止めれば、生活をさらに良くするきっかけにもなります。
ある姉妹の例を紹介しましょう。 A子さんとB子さんは二歳違いの姉妹です。姉のA子さんは周到に計画を立てて物事を進めていくタイプ。その一方で、几帳面なあまり、心配が過ぎる傾向があります。
妹のB子さんは「思いついたら即行動」がモットー。一気呵成に物事をやり抜きますが、時に周囲を振り回すことがあります。
二人はそれぞれ結婚し、男の子が生まれました。ところが不思議なことに、どちらも同じような皮膚の病気が現われてきたのです。
A子さんは、わが子を見るたびに、〈なぜ、うちの子が…〉という思いが募ります。心配になってインターネットで調べたり、「良い医者がいる」と聞けば、遠方まで診療に赴きました。しかし、症状に変化は見られません。
最初は楽観的だったB子さんも、そんな姉の様子を見て、だんだん不安になってきました。そして、〈子供の病気は、親である私に何かを教えているのかもしれない〉と思い、純粋倫理を学ぶ母に相談を求めたのです。すると、「二人とも、自分自身のことを振り返ってみたら」というアドバイスがありました。たった一言でしたが、母の言葉を機に、これまでの暮らしぶりを思い返してみました。
A子さんは、心配のあまり子供ばかりに注意が向き、夫には無関心でした。それどころか、子供の症状が改善されない苛立ちを夫にぶつけていたのです。このことをまず謝ろうと思い、夫に「ごめんなさい」と頭を下げました。夫から「これからも協力していこう」という言葉が返ってきました。
B子さんは、周囲のアドバイスを受け入れることが苦手でした。特に、夫から何かを言われると、いちいち腹を立てていました。そのため会話も少なかったことを反省し、夫の言葉に素直に耳を傾けるよう心がけたのです。
その後、姉妹共通の友人から、よい医者の紹介がありました。それぞれ通院すれば良くなることを告げられ、ホッと一安心。その後の診察には、それぞれの夫婦と子供、六人で病院へ行くようになったのです。夫婦仲が格段に良くなったことは、二人にとって大きな変化でした。
子供自身に、あらわれた病気でさえも、例外なく、親の生活の不自然さが反映したまでである。これを知ったら、世の人々は、どれほど驚くことであろう。又どれほど安心することであろう。こうした事が、うそかまことか、それは人に聞くまでもない。子を持つ世の親たちは、自分自分のこれまでの生活と、子供たちの性質なり、することなりを、静かに観察すれば、はっきりすることである。(『万人幸福の栞』)
私たちの周囲に起こることで、意味がないものはありません。今日一日、今この時に起きてくることをどう受け止めるか。どう見るか。そこに岐路があるのです。