千里を駆け抜けた男

「今週の倫理」は、その名の通り、毎週一回の発行です。
「千里の道も一歩から」という諺がありますが、平成9年9月1日の第1号が一歩となって、皆様にご愛読をいただきながら1000号を迎えることになりました。
大阪府に「千里」という名称を含んだ単会があります。千里中央倫理法人会です。1970年の大阪万博開催前に開発された豊中市・吹田市が誇る千里丘陵に広がるのが千里ニュータウンであり、地元の人たちからは「せんちゅう」の愛称で呼ばれている地域です。
千里中央倫理法人会は平成13年7月7日に設立されました。現在は8代目となる土屋篤会長にバトンが手渡され、大阪府の中でも活力溢れる活動を展開しています。
七代目の田畑章氏が会長に就任した当時は、会の運営が組織の体をなしていない状態でしたが、3年間の必死の努力で、モーニングセミナー(以下MS)の出席社数が全国年間ベスト10に入るほどの発展を遂げたのでした。

田畑氏自身の倫理との出合いもまた「千里」を走るものでした。きっかけは長野県の佐久平です。中村八惠子さん(現・長野県倫理法人会会長)がディスク・ジョッキーを務める地元FMラジオ番組に、旧知の仲だった田畑氏がゲスト出演したことがありました。
その放送後、中村会長から、倫理法人会を薦められたのです。
「読んでみてください」と手渡されたのは『万人幸福の栞』でした。長野から大阪まで帰る車中で、手にとって読んでみると、これまで苦心して掴みとった信念と合致し、成功者の行動規範といえるものが書いてあります。
感動した田畑氏は〈この著者に会いたい!〉と強く思いました。しかし、著者はすでに亡くなっています。それでも気持ちの高鳴りを抑えきれなかった田畑氏、せめて生誕地に行ってみたいと新大阪駅のホームまで奥様に来てもらい、着替えを受け取って、福岡県豊前市に直行したのでした。
倫理運動の創始者・丸山敏雄の生まれた豊前市は、福岡県と大分県の県境に位置しています。田畑氏は県境にある中津市の出身でした。ほぼ同郷であることにも運命的な縁を感じた田畑氏は〈この学びこそ今の自分に必要だ〉と確信。その日のうちに倫理法人会に入会しました。まさに、「千里」を走っての即決でした。
田畑氏は、今年度から大阪府倫理法人会の会長に就任しました。昨年度まで、2年続けて府内の全単会目標達成を成し遂げた木村前会長の思いを継ぎ、大阪府が35周年を迎える平成30年度には、3000社達成を決意しています。
倫理の実践者をさらに増やし、大阪府経営者教育団体ナンバーワンを目指すため、独自の普及サイクルを創り出している大阪府。「エブリデー普及デー」を合言葉に、毎日のように入会が続いています。
田畑会長の思いはすでに千里の彼方に向けられ、歴代会長の夢である大阪府5000社の実現を見据えています。商人の町・大阪が熱く燃えています。