安岡正篤 一日一言
心を養い、生を養う
10月26日
三不幸
伊川先生言う、
人三不幸あり。少年にして高科に登る、一不幸なり。
父兄の勢に席って美官となる、二不幸なり。
高才有って文章を能くす、三不幸なり。
年の若いのにどんどん上にあがる。世の中はこんなものだと思ったら大間違いである。
というのは修錬というものを欠いてしまうことになるからで、これは不幸である。
これは官ばかりではない。親のお蔭で若輩が重役になったりする。みな同じことである。
またいろいろのすぐれた才能があって、文章を能くする、-分は飾る、表すということで、
つまり弁が立ったり、文才があったりして表現が上手なことーこれも大きな不幸である。
今日は選手万能の時代で野球とか、歌舞とか、若くてできる者にわいわい騒ぐ。
これは当人にとって、大きな不幸であります。若くてちょっと小説を二つ三つ書くと、
たちまち流行作家になって大威張りする。小娘がちょと歌や踊りができると、
やれテレビだ映画だ、つまらない雑誌や新聞がそれをまたデカデカと報道する。
変態現象と言うか、実に面妖なことで、決して喜ばしい現象ではない。
福岡市東区香住ヶ丘 株式会社 キョウエイホームより