安岡正篤 一日一言
心を養い、生を養う
11月10日
女性に望む
私は少年の頃幾度も故老から、もし旧幕時代に「武士の娘」という教育がなくて、
あのだらしない江戸武士と、似た者夫婦の女だけであったなら、
とても徳川幕府はあんなに保てなかっただろうという述懐を聞かされた記憶がある。
男性が女性に掲望する至極のものは、あくまでもゆかしい心情であって、
決して知識や技術や職業的活動などではない。
なまなましい現実の必要に肱惑いて、軽率に女性の男性化を促すようなことをすれば、
男性や国家への協力に似て実は恐るべき荒廃に沈む。…
没我の愛とそれによって輝く叡智(えいち)、こまやかな心づかい、
ゆかしい礼節、そうした心情に養われた妻や母が一人でも多くあってこそ、
国家は興隆し、外国も懐(なつ)くだろう。
福岡市東区香住ヶ丘 株式会社 キョウエイホームより