普段、何気なく呼吸している
空気の不思議についてご存じでしょうか。
空気の成分は、酸素が21%、窒素が78%、その他1%という構成比になっています。この構成比は、何十億年もの間、変化していません。それが保たれていたからこそ、様々な生物種が進化し、生き続けることができたのです。
もし、空気中の酸素が1%でも上昇すると、発火(火事)の危険が倍加します。さらに酸素が25%になったとしたら、どこかでマッチ1本でも擦ると、たちまち火が燃え広がり、あらゆる植物が燃え尽きてしまうそうです。
科学者による単純な計算では、1万年くらいの時間スケールで、空気中の酸素の量は1%上昇するはずだといわれていますが、いまだにそれは起こっていません。
このことを考えると、人間やその他の生物が、自分の体温や呼吸数を一定に保とうとするホメオスターシス(恒常性維持機能)を有しているように、地球にもその機能があるのかもしれません。
地球はまさに奇跡のような力で満ちていて、目に見えない大きな力で守られて生活をしているのが私たちなのでしょう。
*
地球人の、地球人による、地球人のための倫理。これを地球倫理と呼ぼう――。
今から32年前、1985年に、倫理研究所二代目理事長・丸山竹秋は、「地球倫理の推進」という論文を発表しました。
地球倫理の大きな特色は、人間関係を豊かにする倫理にとどまらず、地球や様々な自然的存在物(大地、空気、火、水など)に対する規律規範も探求し、実践することを包含している点にあります。
この言葉が提唱された当時は、「土地は必ず値上がりする」という土地神話が信じられていた時代です。多くの人が転売目的で土地の売買に参加するなど、バブル経済の只中において、周囲からの反応はほとんどありませんでした。
しかし、丸山竹秋はその後も研究を続け、広く社会へ、その必要性を訴えていきました。
先の例にあげた空気をはじめ、食べ物や飲み物、燃料なども、すべて地球から与えられる恵みです。 その地球の環境に対して、私たちはどれほど目を向けているでしょう。人類が抱えている危機のうち、環境問題ほど、子孫に与える影響が大きいものはありません。
それを乗り越えるための一歩は、地球や自然に対するものの見方や生活様式を見直すことから始まるでしょう。その大本になるのが、地球倫理です。
そして、緑を大切にする、水や電気を節約する、物をリサイクルするなど、身近な取り組みが地球倫理実践のスタートです。
その心構えは〈自分一人がやっても意味がない〉〈一人の力では大きな流れを変えることはできない〉と消極的にならないことです。一人ひとりの自覚と、着実な実践こそが地球倫理の要なのです。
その心構えは〈自分一人がやっても意味がない〉〈一人の力では大きな流れを変えることはできない〉と消極的にならないことです。一人ひとりの自覚と、着実な実践こそが地球倫理の要なのです。