七日目の「ハイ」

Tさんが純粋倫理を学ぶようになったのは、昭和51年、25歳の時でした。知人の紹介で、家庭倫理の会が主催する「おはよう倫理塾」(当時の名称は「朝の集い」)に足を運んだのです。

初めて参加した日、「おはようございます」「ようこそいらっしゃいました」と、先輩会員が明るい笑顔で声をかけてくれました。Tさんは面食らいながらも、その歓迎を嬉しく思いました。

開始前、初参加であるTさんに、役員が「おはよう倫理塾」の流れを説明してくれました。その中で、『万人幸福の栞』の輪読についての話がありました。

「誰が読んでもいいのです。Tさんも『ハイ』と言って読んでもいいのですよ」

そう言われたものの、Tさんは〈とても無理だ〉と思いました。当時のTさんは、絵に描いたような引っ込み思案だったからです。親友と呼べるような人は一人もいません。極度なアガリ症で、話しベタだったため、人が大勢いる中での朗読など、とてもできなかったのです。

「おはよう倫理塾」には二日、三日と続けて参加しましたが、「ハイ」の一言がなかなか出ません。〈次は返事をしよう〉と思うものの、喉の途中で声が詰まって、声にならないのです。

一週間ほど経った頃、役員の一人が、一番後ろに座っているTさんの隣に座りました。その役員は、Tさんにぜひ一度輪読してもらいたいと思っていました。

「大丈夫、読んでごらんよ」と声をかけられ、「ハイ」と返事ができたTさん。ついに〝栞〟を読むことができたのです。

読み終えた後、Tさんはしばらく震えが止まりませんでした。それは緊張からくる震えであり、〈自分も読むことができた〉という喜びの震えでもありました。

その日を境にして、連日〝栞〟が読めるようになったのです。

現在は、経営者モーニングセミナーに通っているTさん。人前で話す機会も多くありますが、子供の頃のことをこう述懐します。

「小学校の頃、叔父がわが家に来た時、父から『叔父さんに挨拶をするように』と言われました。でも、叔父の目の前に行ったものの、『こんにちは』の一言が出てこなかったのです。父親からは、「しっかりせんか!」と叱られました。やがて人前で話すことを避けるようになり、いつしか〈話しベタ〉というレッテルを自分に貼るようになっていました」

そんなTさんにとって、転機となったのが、「おはよう倫理塾」だったのです。〝栞〟の輪読は、声を出す格好のトレーニングになりました。また、積極性も養われるようになって、話すことへの苦手意識が払拭されてきたのでした。

Tさんの現在の口癖は、「足を運ぶは、幸せ運ぶ」です。毎朝会場に足を運んで、七日目にようやく「ハイ」と言えた自身の体験がベースとなって、「行動するところから道は拓ける」という信念が培われたのです。

 

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