安岡正篤一日一言

知恵の学問/安岡正篤一日一言0623

知識の学問と知恵の学問では非常に違うのであって、知識の学問は、われわれの理解力・記憶力・判断力・推理力など、つまり悟性(ごせい)の働きによって誰にもひと通りできるものだ。
子供でもできる、大人でもできる、善人もできる、悪人もできる。
程度の差こそあれ、誰でもできる。
その意味では、機械的な能力である。
しかしそういうものではなく、もっと経験を積み、思索反省を重ねて、われわれの性命や、人間としての体験の中からにじみ出てくるもっと直観的な人格的な学問を知恵の学問と言う。
だから知識の学問より知恵の学問になるほど、生活的・精神的・人格的になってくるのである。
それを深めると、普通で容易に得られない徳に根差した、徳の表われである徳恵(「とくけい」あるいは「とくえ」と読む)という学問になる。
これが聖賢の学である。