朝礼を活用して希望の灯となろう

職場で行なわれる朝礼を、倫理法人会では活力朝礼と称して推進しています。「企業の縮図」といわれる朝礼には、社風あるいは会社の質が色濃く反映されているものです。また、朝礼をよりよくすることによって、それらを磨き高めていけるものです。
その内容や時間は、職場によって様々ですが狙いはおおよそ以下の5点に集約できるでしょう。
①仕事に向かう心身を整える
プロは何より「成果」が求められます。その成果をあげていくための土台となる心と体のスイッチをオンにします。
②情報の共有化と徹底を図る
共に働く仲間と共有しておかなければならない情報を伝え、職場全体の今日一日の動きを掌握します。その中で自身がどのように動くことがよりよい成果につながるかを確認します。
③企業の目的・理念を確認浸透する
わが社は何のために存在するのか、何を目指して働くのかを確認します。
④基本動作を習得し、個々の資質を磨く
姿勢、挨拶、返事という三つの基本動作を行なうことで、マナーや接客応対の技術を磨き、さらに気力を充実させて人間力の向上を図り、組織活性化につなげます。
⑤チームワークの向上
朝礼の中での発声や動作を全員がピタリと合わせることで気をそろえます。また『職場の教養』によって、よりよいモラルや価値観を共有することで、健全なチームワークの向上を図ります。
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経営環境の善し悪しにかかわらず、人材の育成、組織の活性化は中小企業の経営者にとって大きなテーマでしょう。活力朝礼はそれを実現する道具といえます。
そしてその道具をよりよく活用していくために不可欠なのが、企業の目的を示した経営理念に他なりません。理念なき企業やそれが形骸化してしまった組織は、一時的に繁栄することはあっても、継続することは難しいでしょう。
ソニー創業者の一人である井深大氏は、戦後、荒廃した中で起業する際に示した設立趣意書には、「日本の再建に向けての活動」等の会社設立の目的が記されています。企業が健全に繁栄するためには、しかるべき理念が必要なのです。活力朝礼においても、経営理念があることによって、人材育成や社風醸成の方向性が明確に定まるでしょうし、朝礼という道具を自由自在に活用していくことが出来るのです。
よりよい活力朝礼の土台には、経営理念の理解が必要です。先に示した三番目のポイントにもあるように、その経営理念を組織の中にしっかり浸透させる有効な場が活力朝礼でもあるのです。
混迷の時代にあって、企業経営は様々なリスクに備えなくてはなりません。平時においては、活発な企業活動を通じて更なる社会貢献を目指し、非常時には組織が一丸となって難局を乗り越えていかなくてはなりません。
組織の要たる経営者自らが実践に磨きをかけ、率先垂範力を発揮しつつ、活力朝礼という道具を活用する。そして組織を構成する個々人の力を磨き高め、強靭でしなやかな組織作りを推進して、混沌とした現代を強く照らす灯となろうではありませんか。