倫理法人会が主催する経営者の学びの会に参加したО氏は、その日、目から鱗が落ちた思いがしました。
組織をより良く変えていく経営者のタイプとは「三モノ感覚を実践している人である」という、講師の信念に裏打ちされた講演を聴講したのです。何も失うことがない「若者感覚」、組織の常識を疑う「よそ者感覚」、好きなことに没頭できる「ばか者感覚」が、今の時代に最も必要とされているというのです。
とくに持つべきは「若者感覚」です。若者は経験が浅く、その意味では過去を持っていません。過去を持っているのは年配者です。過去を引きずっていては前に進むことはできません。年齢云々ではなく、過去を引きずっていない姿を見せ、今この時を溌剌とイキイキと進んでいる人が本当の若者なのです。
若いということは、やわらかいという事である、弾力があるということである。年をとるにつれて、だんだんえらそうにしてくる、他人と合わなくなる。平和の先駆けは、青年に限る、青年でなければ出来ぬ。コチコチの頭は問題にならぬ。
(丸山敏雄著『青春の倫理』「青年よ、足下を掘れ」より)
若者は過去を持たない分、言い訳がありません。言い訳にこだわる人は、同じ過ちを何度も繰り返します。なぜなら自分が本当に悪いと思っていないからです。言い訳とは、自分を飾っている心が強いからこそ出てくるのです。
さらに若者はしがらみがありません。ドロドロしたしがらみが内外に溜まってしまうと、変革の号令をかけても皆が下を向いたまま誰も反応を示しません。若者はしがらみのない強さを持っています。「ぜひ私にやらせてください」とチャレンジ精神旺盛なのです。企業が活力を失って業績低迷に陥る原因は、経営者の劣化にあるといわれています。
成功を経験した経営者は、既成路線を変えたがりません。変化・変革を好まなくなってくると、「やったことがありません」「できません」「私には無理です」と逃げの心が先に出て、消極的になってしまいます。環境のあらゆる変化をチャンス到来と受け止め、変革を楽しむくらいの挑戦意欲を持って実践に臨むのです。
難しいほどやりがいがあります。〈おもしろそうだぞ!〉と挑戦してみるのです。「できるまでやってみよう」との思いで実行すると、そこに新しい体験が生まれ、新しい力が漲ってくるのです。
心配しながら、結果を予想しながら、事に当たるといったようなことである。こんな心持でした事は、必ず結果がよくない。ただ喜んで全力をつくす。その時は予想もせぬよい結果が生れる、幸福になる。
(『万人幸福の栞』「道義と幸福」より)
社会の役に立とうする「高い志」を持ち、先を駆けゆく精神と若者感覚で目の前の目標必達に前向きに取り組んでいきましょう。自分がチャンスを裏切らない限り、チャンスは己を裏切りません。