固定概念を捨て純粋な学びを求める

倫理法人会は、全国を七つの方面に分割
しています。倫理研究所法人局の研究員が
それぞれに方面担当として管轄し、運営の
指導にあたる体制をとっています。
A研究員もその一人として、方面内の役
員会への出席や幹部研修、モーニングセミ
ナーの講師として出向く毎日です。そのA
研究員が、ある倫理法人会のモーニングセ
ミナーに赴いた時のことです。
通常、役員は集合した後、開始三十分前
から、お迎えの体制を整える「役員朝礼」
を実施します。モーニングセミナーをより
良い学びの場とするために実施する、言わ
ば「事前準備」の一環です。
ところが、この倫理法人会では以前より、
役員は一時間以上前から集まり、会場の設
営を済ませて、セミナー開始一時間前から
「役員朝礼のリハーサル」を行なっている
のです。役員朝礼が「事前準備」であるな
らば、「事前準備の準備」を行なっているこ
とになります。
この日も通例に倣い、「役員朝礼のリハー
サル」が実施されました。その中で挨拶実
習を担当するリーダーが、マニュアルに記
載されている通りのリードができず、先輩
の役員に何度となく指摘を受けました。そ
の場で修正をしつつも、本番に向けて少々
不安を残す結果となってしまったのです。
A研究員も「大丈夫かな?」という思い
でしたが、リハーサル終了後に驚きと共に
感動の光景を目にします。というのも、そ
の挨拶実習のリーダーが、役員朝礼が始ま
るまでの時間、人目につかない場所で何度
も何度も練習を繰り返していたのです。
普段は社員や取引先から一目置かれる存
在の経営者が、「失敗をすまい」と一所懸命
になっている姿を見たA研究員は、改めて
「全国の倫理法人会は、このような方々に
支えられているんだ」と深く頭の下がる思
いになったのです。
倫理法人会は、生活の法則である「純粋
倫理」を学ぶ場です。それは、時に「純情(ス
ナオ)になる勉強」と表現されることもあり
ます。すなわち、倫理法人会という学びの
場は「何か新たなものを身につける」とい
うよりも、「今までに身についてしまった余
分なものを削ぎ落とす」と言ったほうが適
切なのです。
日常の生活にある肩書きやプライド、そ
して価値観や先入観を捨てて、純(混ざり
けが無い)に取り組む時、今までになかっ
た自分になれるのです。更にその姿は、日々
刻々と変化する予測のつかない事態や、ど
のような苦境をも真っ直ぐに受け切れる姿
勢にも直結します。
A研究員が驚きと感動をもって目にした
挨拶実習担当の経営者のように、「日常に存
在する自分」という固定概念を取り払い、
まるで子供のように純粋に学ぶ心境を目指
してまいりましょう。