旗の意味を知った時見えない力が湧き立つ

昨年末、映画『聯合艦隊司令長官 山本五十六』が封切られました。山本の初陣は一九〇五年(明治三十八年)の日本海海戦です。五月二十七日十三時五十五分、東郷平八郎率いる連合艦隊旗艦「三笠」のマストに、「皇国の興廃この一戦にあり。各員奮励努力せよ」との意を込め、「Z旗(ゼットき)」が掲げられ、「日本海海戦」の火ぶたが切られました。
「Z」はアルファベットの最後の文字であり、後がないという決死の覚悟を託した「旗」でした。日本海軍は、重要な海戦の度に、この旗を掲げることを慣例化したのです。
このように「旗」には意味や機能があります。ゴルフではグリーン上のカップの位置を示し、旅行の際に添乗員が持つ手旗などは、遠くからでも視認されやすくする機能を果たしています。手旗信号や船舶の旗、降参の意味を持つ白旗、弔意を表わす半旗、選手を激励する応援旗などは、情報や意思の伝達手段としての意味があります。優勝旗は、成果や実績の表彰や順位を示すものであり、国旗や社旗は、所属する団体や集団の識別の役割もあります。旗は心の拠りどころであり、組織としてのアイデンティティともなるのです。
  倫理法人会では、正法人会設立時に「倫理法人会行動旗」が倫理研究所より授与されますが、併せて「『行動旗』授与にあたって」というメッセージが添えられています。
「正倫理法人会としての証である『行動旗』は、創始者丸山敏雄の遺影の前で、普及本部 法人局員参加のもとに『入魂式』を執り行ないました。本日、入魂式で奏上した『祈誓の言葉』の一端をご紹介するとともに、この行動旗に込められた願いと、会場に行動旗を掲げる意義をご斟酌くだされば幸甚です」
 さらに続けて、丸山敏雄に対する「祈誓の言葉」が付されます。
「この行動旗は 倫理運動の大きなうねりにより 変化興亡の激しい時代の中 岐路に立たされた日本を創造的に かつ大きな希望を抱き再生すべく 地域の活性浄化を牽引する倫理法人会の象徴として お渡しするものです 乞い願わくば 丸山敏雄先生におかれましては 純粋倫理の学習と実践に勤しむ拠点に掲げられるこの行動旗に 瑞々しい『いのち』を吹きこみ 倫理経営に専心する会員企業が 一社でも増大し 地域の活性化ひいては日本創生に大きく寄与貢献できますよう 何卒 よろしくご教導ください」
 純粋倫理の根幹をなす「七つの原理」の一つ「物境不離の原理」は、環境、場とそこに存在する物、事象の関係、見えないもの、形なきものを形ある象徴として表わす、「物」との関係です。行動旗は「地域の活性浄化を牽引する倫理法人会の象徴」として、多くの魂が込められている倫理法人会の証なのです。
「旗はその典型でしょう。国旗は、その国のシンボルです。オリンピックの優勝者の表彰式で、国家の演奏とともに国旗が高々と掲揚される時、勝者はもちろん、国民が感動的に胸を熱くします。模様の印刷された一枚の布切れが、国民の精神的な象徴と化すのです」
(丸山敏秋著『七つの原理』)
倫理法人会の行動旗はもとより、国旗、社旗、そして社章やバッジ、マーク、看板にも、形のない理念や願いが込められています。同様に社名や氏名にも、企業体や両親の「願い」が込められています。
形なきものや見えないものにも力は宿っています。見えないものを知ることにより、見えない力が湧き上がってくるのです。