三月は季節の変わり目です。気温の変化が顕著で、体調を崩す人も少なくないようです。体調を崩した時には、「病気は自然の注意」と前向きに受け止めて、健康管理がずさんになっていないか、食事のあり方はどうか、生活が不規則になっていないかなど、自身の生活を誠実に振り返りたいものです。
併せて、心の状態にも目を向けましょう。人に対して腹を立てていないか、嫌々ながら働いていないか、家庭の問題をそのままにしていないかなど、マイナスな感情を心に溜めておくと、それは体に表われます。なぜなら、肉体は心の象徴だからです。
「頭が高い」「腰が低い」「鼻高々だ」といった言葉は、それぞれ「横柄である」「へりくだっている」「誇らしい」という様を表現しています。これらの言葉は、心の様相が肉体に連なることを表現しています。
女性ファッションモデルのFさんは、ある日の朝、いつものように起きると声が出ないことに気がつきました。後日、それが「失声症」という病気だと知り、倫理研究所研究員に倫理指導を受けることにしたのです。筆談で状況を説明すると、研究員は「声が出なくなった前日、何か腹を立てるような出来事がありませんでしたか?」と彼女に聞きました。
Fさんには、ひとつ心当たりがありました。両親と喧嘩をしたのです。Fさんはその日、結婚を決めた男性を両親に紹介し、結婚の意志を告げたのですが、両親は結婚に反対をしました。男性は当時、無職であり、彼女のほうもモデル業をしているとはいえ、いつまで安定した収入が続くか分からない状態です。そのため「彼が就職するまでは結婚は認められない」という言い分でした。
そのことをきっかけに両親と激しい口論となり、喧嘩をしたまま寝床に就くと、その翌朝から声が出なくなったのです。
その事実を研究員に伝えると、「その時にFさんは、もう両親と口を利きたくないと思ったのではないですか? そのことを肉体が表わしているんですよ」と言いました。そして「ご両親が結婚を反対したのも、Fさんの幸せを思ってのことですから、まずはご両親の話をしっかりと聞いて、そして謝罪をしてください。ただし、今のあなたは声が出ないから、手をついて心の中で『お父さん、お母さん、わがままな娘でごめんなさい』と唱えてください」と言葉を続けたのです。
Fさんは早速そのことを実践しました。両親の前に手をつき、頭を下げ、心の中で謝罪の言葉を唱えようとすると、「お父さん、お母さん、わがままな娘でごめんなさい…」という言葉がハッキリと口から出たのです。
その後、Fさんはその男性と結婚をすることとなります。両親と話し合った上で、「彼が就職するまで結婚しない」ということを決めた途端、男性の就職が決まったのです。
結果として、彼女は声が出なくなったおかげで、両親と冷静に話し合うことができ、円満な結末を迎えられました。失声症が「両親と仲直りをしなさい。そうすれば結婚も良い方向に向かいますよ」と教えてくれたのです。
「汗」は体温調節、「発熱」は殺菌など、肉体のすべての営みは、その人を良くするために行なわれています。病気もまた、その人を正しい生活へと引き戻してくれる、ありがたい大自然からの注意です。感謝して受け止め、明るい心で生活をする時、必ずや肉体は自然に回復の方向へと向かっていくでしょう。