江戸時代後期の儒学者・佐藤一斎は、その著書『言志四録』の中で、「少(わか)くして学べば、すなわち壮にして為すこと有り。壮にして学べば、すなわち老いて衰えず。老いて学べば、すなわち死して朽(く)ちず」と学び続けることの大切さを説いています。常に何かを勉強し続け、自己啓発に励むことは、充実した人生を築く上で大切です。
現代ではテレビ・ラジオ・新聞・雑誌・書籍・インターネットなど、様々な情報が溢れていることから、目的に見合った情報をいかに的確に選び出すかの眼力も大いに必要となるでしょう。
新聞ひとつ取っても、そこには膨大な量の情報が満載されています。ダラダラと読んでいるだけでは、ただ単に知識を収集したにすぎません。〈○○の情報を手に入れて、それを仕事の役に立てたい〉などという目的意識を持って新聞を読む姿勢が大切といえるでしょう。
加えて、ちょっとした情報整理のコツを掴んでおくことが、勉強の効果や効率を上げるために必要となるのです。
そのコツをいくつかご紹介しましょう。
(1)集める/捨てる
集めるということは、捨てるということと表裏一体の関係にあります。
「整理」という言葉には、不要なものはドンドン捨てるという意味があります。資料をいつまでも捨てなければ「死料」の山を作るだけであり、いずれは収拾がつかなくなります。書籍や資料などは必要なもののみ保存し、そうでないものはサッパリと捨てるようにしたいものです。
(2)記憶より記録
他人の話を聞いたり、本を読んだりしている時に、重要だと感じた事柄は、すぐさまメモを取ったり傍線を引くなりして、記録として残しましょう。いつも、そのための手段となる道具を準備して、必要と思った時には、すぐその場でそれらを実行することが大切です。
〈これは大切だ〉と気づいても、すぐに行動に移さずに「あとでノートに書こう」などと無精をきめこんでいては、時間の経過とともに記憶は薄れていき、結局は忘れてしまう状況に陥ります。
(3)揃える
例えばメモなどは、専用のノートやサイズの揃った用紙を使用するなど、記録する媒体を一定の規格に揃えておくとよいでしょう。そうすることで、必要な時に必要な情報をすぐに探し出すことができます。
新聞の切り抜きも一定のサイズに揃えた台紙に張ることによってカード化でき、保存する場所の整理整頓にも役立ちます。
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自らの見識を広げたり、知力を向上させることは、職場や日常生活のあらゆる場面で磨き高めることができます。
そのためにも、自分にとって必要な情報をキャッチし、きちんと整理して、いつでも取り出すことができるように「集める・捨てる」「記憶より記録」「揃える」という事柄を、今まで以上に意識して仕事力を向上させましょう。