倫理法人会が開催する「経営者モーニングセミナー(以下MS)」の会場数は現在、全国六九二カ所を数えます。
午前六時(所によっては六時半)から一時間にわたり、毎日、全国各地のどこかでMSは必ず行なわれています。倫理法人会の歌「夢かぎりなく」を斉唱する元気な歌声が、各地で一斉に響き渡っているのです。
MS開始の三十分前に実施される「役員朝礼」をはじめ、『万人幸福の栞』の輪読、会長挨拶、「誓いの言葉」の力強い唱和など、四十七都道府県下すべての会場において、同じ空気、同じ形態で展開されています。
したがって、会友が出張先で宿泊したホテルが偶然にもMS会場で、かつ開催曜日に当たっていた場合など、飛び込み参加をされる方々も違和感なく溶け込むことができるのです。純粋倫理を学ぶ同志というだけで、十分ほど立ち話をすれば、十年の友のように打ち解けてしまうのです。北海道と沖縄県の会友が仮に出逢ったとしても同様です。
全国にこうした拠点を設立された会友各位のお蔭で、今やどこに行っても必ず仲間がいるという安心感を抱くことができるのは、倫理法人会の特筆すべき事柄でしょう(東日本大震災による被害を受けた各県においても、すべての単会でMSを再開しています)。
一方、こうしたMSの運営を継続するのは容易なことではありません。『MSマニュアル』に則った行動に徹していく関係から、役員の集合は一時間前、つまり午前五時にはMS会場に足を運ぶことになるからです。洗顔や交通にかける時間を逆算すると、起床時間はそれ相応なものとなるでしょう。
また、一国一城の主である経営者が、貴重な時間・知力・体力・労力・財力まで捻出し合ってここまでの運営を進めているにもかかわらず、時として係を頼んでいた役員の無断欠席あり、やっとの思いで参加の約束を得た未入会の知人の突然のキャンセルありと、落胆する材料も少なくありません。
それでも、すぐに舞台・場内設営が始まり、『日本創生の詩』をBGMに、活気に満ちた準備が進みます。「お世話される側からもてなす側へ」と取り組む意識がシフトしてこそ、役員の学びであり喜びであるといった空気が漲っているのも、活力を生み出している秘訣でしょう。『MSマニュアル』をそのままに実行されている単会においては、「役員朝礼」前の本番リハーサルも着実に行なわれます(およそ役員朝礼の十分ほど前)。ここまで徹することで、MS平均参加社数を確実に伸ばしている単会は、今や一つ二つではありません。
このように週に一度、武道芸道の稽古場さながらの空気が造り出されます。この凛冽(りんれつ)の気を呼吸することで身が引き締まり、次週までの七日間を乗り切るだけのエネルギー充電がなされます。MSは、倫理経営と我が国の伝統文化が学べると共に、積極大胆な自己革新を図れる数少ない場の一つです。
参加の際は服装にも心を配り、本気で臨むことです。居眠りなどはもってのほかで、遅刻も考えものです。ピンと張り詰めた空気が一瞬にして掻き乱されてしまうからです。MSとは、日本が日本としてある場であり、日本人が日本人になっていく清堂なのです。