大きく時代が変わろうとしている昨今、政治・経済・教育などの分野で改革が必要とされると共に、それを断行する中心者、つまり真のリーダーが求められています。
リーダーの資質やあり方とは何でしょうか。イギリスの思想家であるトーマス・カーライルは、リーダーシップについて次のような指標を述べています。
人の上に立つ者は、常に孤独である。誰にも頼れない。自分を守ってくれるのは自分だけである。だから、まず何よりも自分自身をよく知り、強い自分を創っていかなければならない。強靭な精神力を鍛えあげるのは、目標に向って何が何でもやり遂げたい、やらなければならないという熱い欲求である。自分の行動を正しいと信じ、とことんまで諦めず、一歩一歩前進していこうとする情熱である。心のうちに秘めた不退転の決意が人間を強くする。苦しさや困難に屈しようとしない精神力、不退転の決意が信念である。ひとたび確乎たる信念を持った者は、一見不可能と思えるような難しい仕事をやってのける。信念をもって行動している人々は、美しく見える。人の気持ちを惹きつけて離さない。
信念はあっても、信念だけでは他の人はついてこない。信念を支える実力がなければならない。どのような場面や場所にあっても、自分のおかれた立場をしっかりと認識し、適確に適応していく能力を持ち、仕事を進めていくうえでの知識、技能を身につけている必要があるだろう。
人生について、人間について深く考え理解して、他の人々のために働く心の広さもなくてはならない。自分の携わっている仕事の世界での知識や技能だけでなく、広い視野で物事をとらえる良識、一般的な洞察力も大切である。燃え滾るような信念と実力が両々相まって実践が行われる時、強烈なリーダーシップが生まれてくる。黙っだろう。(『英雄崇拝論』)
ていても人はついてくる▽
リーダーシップとは、その人の生き方が直接に現われるものです。だからこそリーダーは人間性を高めることが必要なのです。
成功の道程には、必ず立ちはだかる壁(困難)があります。逆境の時こそ「諦めず、焦らず、慌てず」に自らを奮い立たせ、希望を胸に必ず突破できると己を信じ、刀を鍛えるように何度も何度も果敢に攻めていくところに道は拓けるのです。
逆境に揉まれながら、人は大きく成長していくものです。苦難に直面すると「自分が生まれてきた意味」「自分が生かされていることの意味」「何のためにやっているのか」などを、自ずと考えさせられるものです。目の前にあるすべての壁は己自身の内なる壁そのものです。苦難の渦中にあって果敢に攻めることは、自己成長をはかるのと同じことなのです。
さらにリーダーとして忘れてはならないのが恩意識です。恩を忘れてしまえば、人は謙虚に学ぶ姿勢を失い、組織崩壊の根幹となる自惚れや暴慢さを引き起こし、信念が強情へと変質してしまうものです。恩とは恵みであると感じる心であり、ありがたいと感じる感情です。お世話になりましたと他者に感じる感謝の念を、実践に表わすことを意味しています。この感恩感謝こそ、壁を突破する最高の気力の源でもあります。逆境は自己改革のチャンスとして受け止め、リーダーとしての資質を高めつつ、苦難を通して人間性を磨き高めていきたいものです。