実践の積み重ねが自己や周囲を変える

全国の倫理法人会で学んでいる倫理経営
とは、「純粋倫理に根ざした経営」を指しま
す。経営者が純粋倫理という生活法則を拠
りどころとして、トップとしての人間力を
高めている場が倫理法人会なのです。
「純粋倫理」とは、人が二人以上集まって
生活をする時、一人ひとりが守らねばなら
ない基本的なルール・すじみちのことです。
宇宙の哲理(大自然の法則)を人間生活に
合致させて、人・物・自然を対象として生
まれた、日常生活における正しい暮らし方
なのです。
純粋倫理の特色とは何か。①実践を命に
している。②実践の手がかりを「苦難」と
している。③心のあり方を重視している。
この3つがポイントとして挙げられます。
『万人幸福の栞』(丸山敏雄著)の序文に、
「実行によって直ちに正しさが証明できる生活
の法則である」とあるように、何より実践
が生命線となります。実践とは、実際に行
なうことです。行なうことによって初めて
自分が変わり、家庭・会社と周囲が変わっ
ていくのです。
S氏は、毎朝三時に起きて、四時から会
社周辺の清掃を行なっています。何の見返
りも期待しない無心の実践の中で、自分の
心が変わっていく道行きを強く感じたと言
い切ります。
その実践の高さ・深さに比例して事業が
好転していったことは言うまでもありませ
ん。家庭や職場などの身近なところで、心
境を高め、実践力をつけていくのです。
実践力に磨きをかける一番の手がかりが
「苦難」です。苦難は、人を磨き高め、大
きく成長させる材料なのです。人をより善
くし、より向上させるために訪れるのです。
また今までの自分の過ちを気づかせてく
れる、非常にありがたい存在でもあります。
苦難の原因は自分自身にあると反省し、そ
の一つひとつに正対し、苦難を通して気づ
きや閃きを高めていくのです。
人生で苦しい立場にある時ほど、他人の
心の優しさもよくわかるといわれています。
さらに人生が閉ざされている時ほど、生き
る力が湧き起こるものです。
T氏は、「ピンチこそチャンス」と明るく
喜んで迎えようと心がけ、「自分に何かを教
えようとして起きているのだ」と前向きか
つ肯定的に受け止めて前進しています。成
功とは、苦難を通して得られることを実感
したのです。
人間は自分の心を磨いていこうと努力し
ています。人はその人の器以上の人には出
会えませんし、また器を越えるような出来
事にも遭遇しません。言い換えれば、自分
の器を大きくしてレベルを上げない限り、
人は成長しないということになります。
心の状態は、その人の動作・行動に必ず
現われてきます。動作・行動は、その人の
心の状態を知る手がかりとなります。まず
「心が先」であるということを、私たちは
理解する必要があるでしょう。心を磨き高
め、実践への気力を喚起し、そして行動へ
と転化させていきましょう。