純粋倫理の醍醐味を自社の経営に活かせ

「成功する経営者は、自然の哲理を知っている」といわれます。生活を営み、また事業商売を営んでいく時、そこには必ず正しい生き方という、哲理・道理・原則があるはずです。その生き方を学ぶ場が、倫理法人会の数々の行事です。
 純粋倫理でいう「道理」「原則」とは何でしょう。それは純粋倫理の基本となる《七つの原理》です。その原理に触れてみましょう。
①「全一統体の原理」。この世のあらゆる物事は、それぞれ別々の分離した個体ではなく、隠れた次元でひとつにつながれている、というものです。『万人幸福の栞』にある「人の世のすべては自分の鏡であって、自分の心の生活を変えると、その通りに変わる」ということです。
②「発顕還元の原理」。振り子と同様、「出せば、入る。捨てれば、得る。与えれば、与えられる。むさぼれば、失う」ということです。お客様のために尽くせば、必ず自社に返ってくるものがあります。
③「全個皆完の原理」。起きてくる現象(苦難)を嫌わずに受け止め、「これがよい」と肯定し、自分の誤りや不自然な生き方を改めていく時、おのずと苦難は解決していきます。
④「存在の原理」。人を対象と考えた時、あらゆる物事は二つと同じものはなく、他と比べようがありません。自分という人間は「いま・ここ」に生き物として、この肉体をもって厳然として在ります。他の誰かと取り替えることができない、たった一つの存在です。自分は唯一絶対の存在であるからこそ、「明朗に生きる」という実践が生まれます。自分の心が明朗になると、相手の態度も変わり、商売の結果も変わり、運命が好転していくというものです。
⑤「対立の原理」。存在する物事はすべて対立しています。一方があれば、もう一方があり、上下・前後・男女・親子・美醜などです。その対立したものが一つになった時、物事は成り立ち、それ以上に発展していくのです。『万人幸福の栞』の夫婦対鏡にある「夫婦は合一によって、無上の歓喜の中に、一家の健康と、発展と、もろもろの幸福を産み出す」というところで理解できるでしょう。
⑥「易不易の原理」。変化興亡の厳しい現状です。この激動の中で、変えなければならないことは変える。しかし、変えてはいけないものは決して変えない、特に、経営の目的(理念)は変えないが、変化には柔軟に応じていくということです。
⑦「物境不離の原理」。この「境」は「場」あるいは「環境」と捉えます。「物が物としてあるためには必ず場があり、物がなくて場だけあるということはありません。社屋(物)は土地(境)があるから存在するのです。その物と境に対して、「この場所が最も良い所」と感謝することにより、社屋・工場も生きてくるのです。
以上、倫理の基本となる原理を簡単に述べました。自社の経営に導入され、純粋倫理の醍醐味をつかんでいただきたいと思います。