東日本大震災より3年が経ちました。未だ
三十万人以上が辛く厳しい避難生活を余儀
なくされていると伝えられています。一日も
早い被災地域の復興を願うばかりです。
K氏は二年前の震災当日、東北地方の出張
中でした。
平成二十三年三月十一日、十四時四十六分、
宿泊先のホテルに到着し部屋に入った瞬間、
あの大地震が起きたのです。震源地からは離
れた都市でしたが、かつて経験したことのな
い揺れにK氏はパニック状態になりました。
室内の灯りは消え、逃げるに逃げられず、
どうしていいのか分かりません。やがて揺れ
が収まると、非常ベルに加えて、「ただ今、
地震が発生いたしました。お客様はすぐに避
難通路より避難してください」と館内放送が
流れ、部屋には電話がかかってきました。
廊下に出てみると、既に懐中電灯を持った
スタッフが待ち受けており、余震の続く中、
避難通路から何の混乱もなく宿泊客全員を
外へと誘導したのです。その後、責任者を中
心に集合し、的確な指示が出されました。
外は吹雪、ホテル内は停電という中で、即
座に毛布が配られました。その夜、ロビーは
避難所さながらの様相となりましたが、おに
ぎりと漬物、温かい味噌汁が振る舞われたの
です。宿泊客はほとんど不安なくロビーで一
夜を過ごしました。
このホテルは倫理法人会の経営者モーニ
ングセミナーの会場であり、朝礼も実施され
ています。普段から礼儀正しく、キビキビと
して気配りの届いた社員が多いとの評判で
す。しかし普段は冷静に対応できていても、
いざ緊急時となると混乱し、統制が取れなく
なったりするものです。K氏は「スタッフの
冷静な動きとチームワークの良さに加えて、
単純で小さな習慣の積み重ねが、ある時大き
な力を発揮するのだ。『微差は大差』という
印象を持った」と言います。
毎朝の「職場朝礼」や週に一回の「経営者
モーニングセミナー」なども、朝のわずかな
時間の活用ですが、積み重ねることによって
良い習慣として自然に身につき、必要な時に
力を発揮するものです。加えて、返事や挨拶
などの起居動作の習得を含めて、組織力を高
める連帯感やチームワークは積み重ねるこ
とで磨き高められていくのです。
パナソニックの創業者・松下幸之助氏は
「心配りの行き届いた仕事は一朝一夕には
生み出せない。やはり日ごろの訓練やしつけ
がモノをいう」と語っています。剣豪・宮本
武蔵は「千日のけいこを鍛とし、万日の稽古
を錬とす」という言葉を遺しています。上達
するには繰り返し、繰り返し、鍛錬、努力す
るほかはないということです。
「継続は力なり」です。「一日に一回」をま
ずは手始めとして、「石の上にも三年」とい
われるように、一度始めたことは三年を目標
に続けてみようではありませんか。振り返れ
ば、確かな実績が築かれているはずです。