今週は、日々物事に取り組んでいく上での心得や姿勢について、心身両面から、ポイントをお伝えします。
倫理法人会の『幹部研修テキストⅥ』に、「倫理実践の要諦」という章があります。ここでは実践の要諦、すなわち日々行動する上での心得として、次の十項目を紹介しています。
(一)即行 気づくと同時に行ないに移す。(二)純粋 そのままである。何も考えぬ。付加せぬ。(三)直行 まっすぐに行なう。(四)結果を考えぬ 予想せぬ。(五)緊張 実践は、ゆるんではだめである。(六)一気呵成 一息にやり上げる。(七)おしとおす 一歩も退かず押していく。(八)反復不退 出来上がるまでつづける。(九)不悲不喜 わるかったと悲しみに浸り過ぎない。よくできたからといって喜びすぎて油断しない。(十)慎終 後始末をよくする。これらは、内容的に三つのグループに分けることができます。
(一)と(二)は、物事を始めるに際しての心がけです。たとえば、「今年はすぐにお礼状を出すぞ」と決意したとしましょう。しかし、たとえ気づいても、すぐに行動しなければ(礼状を出さなければ)、気づきはやがて雑念となり、果ててしまいます。グズグズしていたり、面倒がって先送りにしていると、別の用件が生じて、せっかく気づいたこと、決意したことが無駄になってしまいます。
また、相手からのアドバイスや助言などをそのまま聞き、実行する姿勢(=純粋)も大切です。〈それが何の得になる?〉などとゴチャゴチャ思い悩んでいたり、できない理由ばかり考えていては、実行を通して味わえる喜びを体感することはできないでしょう。
(三)から(八)は、その物事を行なっていく際の心得です。行動をし始めたら、断固として継続すること。〈人にどう思われているか?〉などと思い煩うことなく、目の前の物事に集中して取り組む。これが「直行」であり、「結果を考えぬ」です。この時、大切になってくるのが、(五)から(八)までの姿勢です。これらは〈始めたことは必ずやり遂げる〉という強い意志の表われです。
(九)と(十)は、物事を締めくくる際のポイントです。行動には失敗がつきもの。順調に成功することもあれば、うまく行かずに頓挫する場合もあります。成功したからといって楽観的になり過ぎたり、失敗したからといって悲観し過ぎない。「不悲不喜」とは、そういう意味です。そして、どのような時もしっかりとした「後始末」をやり遂げること。物事にはっきりとした終止符を打ち、次に備えるのが慎終です。
これら十項目は、新年に立てた決意や目標を実現させるための支えとなるでしょう。今年は、昨年よりも一歩も二歩も成長する自分になろうではありませんか。