『吉田松陰一日一言』

川口雅昭氏編  致知出版
『吉田松陰一日一言』
―魂を鼓舞する感奮語録―

4月16日 「暫時の間なり」

 今世学問をする者己れの年少を恃み、何事も他日と推延ぶる者あり、殊て知らず、人生一世間、※白駒の隙を過ぐるが如し、仮令百年の命を全くすとも、誠に暫時の間なり。 安政3年5月14日「講孟劄記」

【訳】
今、学問をするものは、自分がまだ年少であるということを口実として、何事につけても、いつの日にか、などといって、実行を延期するものがいる。人生というものは、「白駒の隙を過ぐるが如し」といわれるように、歳月の過ぎ去ることは、大変早いというこがどうして分からないのであろうか。たとえ百年生きたしても、本当にわずかな間でしかないのに。

※荘子の著書『荘子』の言葉。荘子は、中国の戦国時代、宋国に生まれた思想家。道教の始祖の一人とされる人物。