『吉田松陰一日一言』

川口雅昭氏編  致知出版

『吉田松陰一日一言』

―魂を鼓舞する感奮語録―

「心一杯の事を行ひ尽す①」

 

其の心を尽すとは、心一杯の事を行ひ尽すことなり。力を尽すと云へば、十五貫目持つ力ある者は十五貫目を持ち、二十貫目持つ力ある者は二十貫目を持つことなり。是を以て考ふべし。今人未だ曾て心を尽さず。故に其の一杯の所を知ること能はず。

【訳】

その心を尽くすとは、心一杯、自分の限界まで行い尽くすことである。力を尽くすといえば、十五貫目のものを持つ力があるものは十五貫目のものを持ち、二十貫目のものを持つ力のあるものは二十貫目のものを持つことである。このような例で考えるべきである。今の人はこれまで一度だって心を尽くさない。だから、自分の心がどこまで力があるのかを知ることができない。