川口雅昭氏編 致知出版
『吉田松陰一日一言』
―魂を鼓舞する感奮語録―
5月7日 「君子道義の交は」
君子の交は淡くして水の如く、小人の交は濃くして醴の如し。その味も知るべし。君子道義の交は、淡き故に久しうして変ぜず、小人利欲の交は濃き故に久しからずして変ず。
安政3年5月29日「講孟劄記」
【訳】
心ある立派な人の交際というのは、さっぱりとしていて、水のようである。つまらない人間のそれは、濃厚で、甘酒のようである。これをもって、交際のあり方を知るべきである。君子の、人としてあるべき正しい道にかなった交際は、さっぱりとしているが故に、長期にわたり、変わることがない。小人の利益や私欲を目的とした交際は、濃厚であるが故に、却って長続きせず、すぐに変わってしまう。