川口雅昭氏編 致知出版
『吉田松陰一日一言』
―魂を鼓舞する感奮語録―
5月19日 「徳に周き者は」
利に周き者は徒に凶年其の身を殺す能はざるのみならず、又能く人を賑救して、あわせて死せざらむるに足る。徳に周き者は徒に邪世其の心を乱す能はざるのみなら
ず、又能く人を薫化して乱れざるしむるに足るなり。 安政3年6月4日「講孟劄記」
【訳】
利益を得ることに用意周到なものは、農作物の実りの悪い年にも、むやみにその身を死なせないだけでなく、多くの人々を救って、更に死なないようにさせることができ
る。徳を修めることに用意周到なものは、よこしまで悪いことが横行している時代であっても、その正しい心を乱さないだけではなく、更に、人々を教化して、乱れない
ようにさせることができる。