川口雅昭氏編 致知出版
『吉田松陰一日一言』
―魂を鼓舞する感奮語録―
6月7日 「細行を矜まざれば」
「行住坐臥、暫くも放心せば則ち必ず変に臨みて常を失ひ、一生の恪勤、一事に於て闕滅す。変の至るや知るべからず」と云ふは、細行を矜まざれば、遂に大徳を累はすと云ふと同一種の語にして、最も謹厳なる語なり。 安政3年8月以降「武教全書講録」
【訳】
「普段の生活において、一瞬でも安心して、気を抜けば、必ず非常事態に遭遇した時、平常心を失い、生涯をかけて励み勉めてきたことも、一つのちょっとしたことで、全てをなくし、失ってしまう。いつ変が起こるか、予測することは難しい」ということは、些細なことにも心を尽くして対応しなければ、ついに、(それまでの生涯をかけて築き上げてきた)大きな恩徳さえも台無しにしてしまう、というのと同じ教えである。最も慎み深くて厳格な言葉である。