『吉田松陰一日一言』

川口雅昭氏編  致知出版

『吉田松陰一日一言』

―魂を鼓舞する感奮語録―

6月19日 「君子小人並びに服するの人①」

 

君子に二等あり。高尚の士は固より流俗に同じうせず、汙世に合せず、嘐々然として古人を以て師とす。此の人の世に居る、俗人庸夫其の奇怪に駭き、口を交へて唾罵す
るは固よりなり。而して独り有識の士のみ深く是れを推服す。

【訳】

心ある立派な人に二種類ある。その一つは高尚の人、つまり、学問・言行などの程度が高く、世俗を超越した気高い人物である。このような人はくだらない世間に同調せ
ず、濁世に合わせず、志を大きくもって、昔の心ある人物を師としている。このような人物がいると、俗人や凡庸な人物は、その、常識では考えられない言動に驚き、そ
ろって非難することは、いうまでもない。しかし、学問があり見識の高い人物のみは、このような人物を、心から偉い人として推し、心服するのである。