川口雅昭氏編 致知出版
『吉田松陰一日一言』
―魂を鼓舞する感奮語録―
9月11日 「其の人なし」
将弱くして厳ならず、教道明らかならず、吏卒常なく、兵を陳ぬること縦横なるを乱と曰ふ。是れ則ち将と吏卒と、皆其の人なし。正に今時の弊なり。一旦事あらば、大乱立ちどころに至らん。今幸に事なくして、乱形暫く伏す。危いかな。 安政4年以降「孫子評註」
【訳】
大将に能力がなく、威厳がない。教えが明確でない。指揮官も士卒も平常心がなく、防備態勢の立て方が混乱していることなどを乱という。これはつまり大将や指揮官、士卒にふさわしい人がいないということである。将に現在の(我が国の)弊害というべきである。一旦、非常事態ともなれば、すぐに大混乱となるであろう。今は幸いにも、そのような状況がまだおこっていない。実に危ない状況というべきである。