『吉田松陰一日一言』

川口雅昭氏編  致知出版

『吉田松陰一日一言』

―魂を鼓舞する感奮語録―

9月14日 「我が党平生の志す所」

〇天下の広居に居り、天下の正位に立ち、天下の大道を行き、志を得れば民と之に由り、志を得ざれば独り其の道を行ふ。富貴も淫する能はず、貧賤も移す能はず、威
武も屈する能はず。此れを之れ大丈夫と謂ふ。(孟子本文)

此の一節反復熟味すべし。我が党平生の志す所此の外他事なし。今悉く其の義を釈せず。 安政2年8月21日「講孟劄記」

【訳】

〇天下の広居に居り、天下の正位に立ち、天下の大道を行き、志を得れば民と之に由り、志を得ざれば独り其の道を行ふ。富貴も淫する能はず、貧賤も移す能はず、威
武も屈する能はず。此れを之れ大丈夫と謂ふ(仁という天下の広い住居におり、礼という天下の正しい位置に立ち、義という天下の大道を歩む。志を得て、世に用いられ
ぬならば、天下の人民と共にこの正しい道を行い、志を得ないで、用いられぬならば、自分一人でこの道を行う。財貨が多く位が高くても、その心を墜落させることがで
きず、逆に、貧乏で身分が低くても、その心を変えさせることができない。威光や武力をもってしてもおびえさせることができない。こういう人をこそ、本当の男児とい
う)。(孟子本文)