『吉田松陰一日一言』

川口雅昭氏編  致知出版

『吉田松陰一日一言』

―魂を鼓舞する感奮語録―

10月10日 「心死より惨なるはなし」

古語に曰く、「惨は心死より惨なるはなし」と。蓋し身死して而も心死せざる者は古聖賢の徒、不朽の人なり。身死せずして而も心死せる者は今は鄙夫の流、行屍の人な
り。 安政6年2月12日「※無逸の心死を哭す」

【訳】

古人が、「心が死ぬということより悲惨なことはない」といっている。ただし、身体が死滅しても、その精神が死んでいないものは、昔の聖人や賢者らであり、これら
は永遠に朽ちることのない人である。身体は死滅していないが、精神が死んでいるのは、今のくだらない人間の類であり、無能で役に立たない人間である。

※長州藩足軽の子 吉田栄太郎稔麿。松陰の高弟。無逸は字。