『吉田松陰一日一言』

川口雅昭氏編  致知出版

『吉田松陰一日一言』

―魂を鼓舞する感奮語録―

「険阻艱難程大業を成すに宜しきもの之なき様存じ奉り候」

足下年少才富何事にても御志さへあれば、成らずと申す事は之れある間敷く候。若し是れ式の事に御鋭気挫け候様にては、大業の創始は迚も出来申さず候。(中略)万一英気挫け候様の事ども御座候も、古の英雄御覧成さるべく候。険阻艱難程大業を成すに宜しきもの之なき様存じ奉り候。   嘉永3年9月29日「※郡司覚之進あて書翰」

【訳】

あなたは、年齢が若いが、才能に富んでおられるので、何事であろうとも、志さえあれば、ならないということはあるはずがありません。もしも、これくらいのことで何事かをなそうとするお気持ちがくじけるのであれば、大きな仕事を始めることなどはとてもできないでしょう。(中略)万一お気持ちがくじけるようなことはあったとしても、古の英雄をご覧なさい。苦しいこと、困難なことがあるほど大きな仕事をなしとげるには好都合だと思われます。

※長州藩士 郡司覚之進 生没年不詳。松陰の友人。砲術研究者。