『吉田松陰一日一言』

川口雅昭氏編  致知出版
『吉田松陰一日一言』
―魂を鼓舞する感奮語録―

12月5日 「己を成して」

士を得るは最も良策。併し士をして吾れに得られしむるの愈れりと為すに如かず。
己れを成して人自ら降参する様にせねば行けぬなり。
(中略)人を結ぶも吾れより意ありては遂に長久せず。
(中略)只だ自力を強くして自ら来る如くすべし。   
安政5年6月28日「※久坂玄瑞あての書翰」

【訳】

心ある立派な武士を同志として得るのは最善の策である。
しかし、そのような武士に、お前(高弟久坂玄瑞)のところに自らやってこようと感じさせる方が、
より勝っている。自分を鍛えて立派な人物とし、人が自分から寄って来るようにしなければいけない。
(中略)人と同志になるとしてもお前の意志からでは長続きしない。
(中略)ただ、我が身の人間としての魅力を鍛え上げ、相手が自分から来るようにすべきである。

※1 長州藩医の子 久坂玄瑞。松陰が高杉晋作と共に最も期待した高弟の一人。吉田松陰の妹文が嫁いだ。