私たちの人生には様々な紆余曲折があります。上昇気流に乗って商売がうまくいく時期。
業績が悪化して、資金繰りに苦しむ時期。思いがけない逆境に直面して、生きるか死ぬかの経験をする時期があるかもしれません。
誰しも、一生のうちに一度や二度は乗り越えなければならない逆境に遭遇するでしょう。
それを乗り越えられるかどうかの分岐点は、自らの「心」が密接に関係しているというのが、私たちの学ぶ純粋倫理の特徴の一つです。
大なり小なり逆境に直面した時、「困った」とか「苦しい」と言う人がいます。「困」という字は「生命が囲われている状態」、
「苦」には「生命が枯渇している状態」という意味があります。二つの字には、自分の生命を縮める、
自分の能力に自分で限界点をつくる、自分で成長を止めてしまう…などの意味が隠されているのです。
将棋界の歴史に名を残す棋士故・升田幸三名人は、大正七年に広島県で生まれました。
幼少の頃はやんちゃで、神社のご神体に小便をかけたり、貧乏を馬鹿にされ、近所の女の子を日本刀で切りつけたりしたこともありました。
半面、将棋の腕は抜群で、近郷近在、升田少年にかなう者は誰もいませんでした。
ある日「棋士になりたい」と母に伝えると猛反対されましたが、自分の決めた道に進みたいという強い思いから、
母の物差しの裏に「この幸三、名人に香車をひいて勝ったら大阪に行く」と書き置きして十四歳で家出。
木見金治郎名人の門下生になりました。
昭和二十七年の第一期王将戦にて木村義雄名人を降して王将位を獲得。
昭和三十一年の第五期王将戦では、大山康晴名人を相手に「名人に香車を引いて勝つ」という、空前絶後の記録を達成。
十四歳からの夢を実現させたのです。
なぜに氏は、自らに課した試練を乗り越え、前人未到の偉業を成し遂げることができたのでしょうか。
それは、常に自分を向上させる自己暗示をかけていたからだと、自著の中で語っています。
「私は自己暗示というのは、人生にとって非常にだいじなことだと思っている。
(中略)不成功に終わる人というのは、自己に無意識のうちに自信喪失させるような暗示をかけている。
おれはもうダメだとか、終わりだとか、始終ボヤいたりして、自分を奈落の底に落ちこませるような自己暗示をね。
逆に、伸びる人というのは、いつも自分を向上させるような暗示をかけてますよ。ここに、わたしゃ分かれ道があると思う。
同じことでも、自信をつけるのと奈落の底へ落ちるように仕向けてるのとでは、これ、天地の差がありますよ」
(升田幸三『勝負』成甲書房)
どの世界でも、一流や超一流と言われて成功している人に共通している資質の一つに「プラス思考」が挙げられます。
私たちも、いい言葉やプラスの言葉で自らの心に暗示をかけてみましょう。
そして、どのような逆境でも乗り越えていくという不退転の決意で突き進む時に、順境という明るい道は拓けてくるのです。
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自分の経験で、窮地に立った時に覚悟を決めた時に好転した事は度々ありました。
そして自分を信じる事ですね。