決断力、統率力、調整力…。人間が集団を営んで生きているからでしょうか。
昔から、リーダーが持つべき能力、いわゆる「リーダー論」については、
さかんに論じられてきました。
リーダーが持つべき能力の一つに先を見通す力、すなわち「先見力」があります。
企業経営にとっても、リーダーである経営者の先見力に自社の浮沈がかかっていると
いっても過言ではないでしょう。
ある住宅関連企業の経営者は、先を読むために次の五つを心がけているといいます。
①経済新聞を読み込む(世界、日本の動向を広い視野で確認する)
、②業界新聞を読む(自分が商売をするフィールドの動向を知る)、
③イベント会場などでは何が行なわれているかを知るために会場へ赴く
(消費者の関心を実際に肌で感じる)、
④「未来」「次世代」等、将来予測に関連する全ての単語をキーワードに新刊本を調べる(
識者の見解を知る)、
⑤海外旅行をする(世界の視点から自社を客観する)
実は、このような調査・研究の努力は、先見力にも通じる、ある力を養っていきます。
ある力とは、未だ見ぬチャンスの兆しをつかむ「勘」や「ひらめき」、
「直観」といわれるものです。たとえば、倫理研究所会長・丸山竹秋は、
次のように述べています。
一流の「勝負の鬼」たちが、いかに心をくだいて研究修練に打ちこんでいることか。
研究をバカにしてはいけない。「こうきたらどうする」「ああなったら、どうすればよいか」
などと、人の観察をしたり、まわりに心を配って実行すること、それらを積み重ねているうちに、自ずから勘が働き、直観力がみがかれる。(『丸山竹秋選集』152頁)
日々の仕事に追われて、なかなか研究などに没頭できないという方には、
早朝時間の活用をお勧めします。早朝の時間帯は、自分だけの時間を確保できると共に、
朝の起き方を工夫することで、直観力を高めることができるからです。
朝の目覚めは、「起きよ」という波動をキャッチした気づきの一瞬。
ここで躊躇逡巡することなくサッと起きる習慣を身につけることで、
気づきがよくなってくるのです。
「一葉落ちて天下の秋を知る」という言葉があります。秋に早く落葉する青桐の葉が
一枚落ちるのを見て秋の訪れを察するように、わずかな前兆を見て、
その後に起こるであろう大事をいち早く察知するという意味です。
危険予知やチャンスを予見する瞬間は、意外とこのような日常の些細なことがきっかけで
起こるものでしょう。
この直観力をいざという時に正しく働かせるには、知的な情報収集等の研究、
仕事に関する経験の蓄積、朝起きをはじめとした直観力を磨く訓練と共に、
経営に対する正しい「志」が必要不可欠です。
「正しい」とは、自他共に「よい」ということに他なりません。
自社の経営が、人や社会・国家、そして地球にとって「よい」経営であるかどうか。
そうした経営のあり方を見直し練り直す時、これまで蓄えた力が作動し、
行くべき道を見出していくことができるのです
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直感力・先を読めるよう日々努力します。