クレームは敵か味方か

お客様からのクレームや不満は様々です。
「店員を呼んでもなかなかこない。何分待たせるんだよ!」
「Yシャツのボタンが取れやすいじゃないか!」
「こんな髪型にしてと頼んだ覚えはないわ!」
 こうした声は、自社のサービスや製品の質を高めるきっかけになります。
信用を維持し、また回復するためにも、真摯な対応が求められます。
 飲食店を経営するA社長は、お客様の声を直接聞くために、各店舗に、
社長宛「ご意見ハガキ」を備え付けています。
来店者の生きた声を宝庫と捉え、そのすべてに返信をし、必要な情報を社内で共有し、
活かしています。
 また、地元で育つ良質な木材を生活用品として加工・販売しているB社では、
取引先やお客様からの細部に至る要求やクレームに対して
「次のヒントにつながるありがたい情報」と捉え、木工スタッフの技術向上に活かしています。
 
顧客からのクレームや不満を事業に活かす企業が増えていることに目をつけた森田晋平氏は、
二〇一二年六月、株式会社不満買取センターを立ち上げました。
 これは、消費者の不平不満を買い取り、その声を企業に売り込んで、
事業のアイデア探しや商品開発に役立ててもらおうというビジネスです。
 不満を売りたい人は、同社のホームページを通じて、
商品やサービスへの不満を投稿します
(ただし、特定の企業や商品を名指しした不満は買い取らないそうです)。
同社は消費者の声を、飲食店や宿泊施設・美容・通信販売などの業種別に分類して、
一千件の不満を載せた冊子にして、企業や自営業者向けに販売しています。
 消費者の不満を集めて売る、という発想はユニークです。不満といえば、
とかくマイナスイメージがありますが、
お客様の不満が新しい商品の開発に活かされることを考えると、
顧客満足のための良き材料になるでしょう。
様々なクレームや不満は、できれば聞かずにおきたいと思うものです。大
小問わず、身にふりかかってくる苦難は避けたいと思うのが人の心情でしょう。
  いやなこと苦しいことを、どうして喜んで迎えられようか。それは、一応はそうである。
苦難というものは、ひどい顔をし、いやな形をして、苦痛のすがたをとってはいるが、
実は我らの敵ではなくて、味方である。というよりか、一番親身に我がためを思って、
つっかかってくる正義の友である。 (丸山敏雄著『人類の朝光』より)
もちろん、誠実に対応しても、言いがかり的な苦情を浴びせてくる人や、
法に触れるようなクレームもあるでしょう。その場合は、毅然とした対応が必要です。
 しかし、いずれにしても、長い目で見ると、それらの対応すべてが担当者を成長させ、
対応マニュアルの見直しやもろもろの改善につながります。
ふりかかるすべてを自社成長の契機としたいものです。
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クレームは誠実に対応して、2度と同じ過ちをおかさぬよう努めます。
何事からも学び、成長します。