漫画『天才バカボン』は赤塚不二夫氏の代表作です。
バカボンのパパの決め台詞「これでいいのだ」は、誰もがご存知でしょう。
このパパのキャラクターは、自身の父親がモデルだったと、赤塚氏は著書の中で語っています。
赤塚氏の父・藤七氏は、新潟県生まれ。満州に渡り、警察官の道を選びました。
特務警察官として、現地のゲリラと最前線で渡り合う、命をかけた仕事でした。
少年時代の赤塚氏にとって、父は眼光鋭く、怖いイメージでした。
その一方で、正義感が強く、困っている人がいれば「敵も味方も同じ人間だ」と、
分け隔てなく助けるような人でもありました。
その後、満州を転々とし、終戦後にはシベリアに抑留され、過酷な人生を生き抜いてきた父を、「『これでいいのだ』といえるような生き方を目指していた」と氏は述懐します。
そして、その人生観は、息子に受け継がれました。
赤塚氏自身、波乱万丈の人生を楽しんで生涯を終えたことは、記憶にも新しいところです。
赤塚氏に多大な影響を受けたタレントのタモリ氏は、葬儀の弔辞でこう述べました。
「あなたの考えはすべての出来事、存在をあるがままに前向きに肯定し、受け入れることです。(中略)その時、その場が異様に明るく感じられます。
この考えをあなたは見事に一言で言い表しています。すなわち、『これでいいのだ』と」
すべての出来事を前向きに肯定し、受け入れる――。
「これでいいのだ」という言葉をより積極的な姿勢の言葉にすると、
「これがよい」となるのではないでしょうか。
「これがよい」は「大肯定」とも言い換えられましょう。
大肯定は、その後の大改善につながります。
「まあ、いいか」「しょうがない」という中途半端な肯定では、中途半端な改善しかできません。事実を事実として受け止めない器量が心を曇らせ、本当に改善すべき点が見えなかったり、
見誤ったりしてしまうからです。また、「これではダメだ」と、欠点や不備を見つけての改善は、対処療法にしかならないでしょう。
失敗や災いがたとえ理不尽でも、大肯定をした上で、〈原因があってこういう結果になったのだ〉と原因理由を追及していく時、初めて本当の改善ができるのです。
ある企業では、チャレンジして失敗した社員を叱ったり、損失に対しての減俸は行ないません。
その代わり、失敗を糧に改善策を出した社員には、表彰と賞金を出しています。
その蓄積により業績を伸ばし、業界でも注目される企業となっています。
うまくいかないことを肯定的に受け止め、その原因を探り、
改善を加えて次の成功へとつなげれば、その過程そのものが財産となるでしょう。
現状にとどまらない改善改革の名人は、実は大肯定する名人でもあります。
「これがよい」と大肯定をして、しかし「これでよいのか」と改善改良を求めて、
より良い仕事を創造していきたいものです。
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失敗も次への成功のためのもの。
松下幸之助翁と同じ、何事もプラス思考でチャンスを創造します。
これがよい。
これでよい。