なかなか業績が上向かない。いわゆる「頭打ち」で、今後伸びていく兆しがない。
経営状態は安定していても、将来への漠然とした不安を持っている。
このような時、どこに活路を見いだすのか。その道は、小さなことにあります。
当たり前のような小さなことをコツコツと続けて、実践を積み重ねていくことが大切です。
その小さなこととは、例えば、「真心を込めて先手の挨拶をする」
「呼ばれたら間髪入れずに『ハイ』と返事をする」「使った物はきちんと後始末をする」
といったようなことです。一見、当たり前に思えることを徹底して実践することで、
やがて大きな力を発揮するのです。
ある地方で運送業を営んでいるEさんは、従業員の挨拶の仕方が気になって仕方がありません。たとえば、「おはようございます」は「おざーす!」、「ありがとうございました」は
「あざしたー!」といった具合です。
体力が物を言う仕事柄、採用する従業員は、いわゆる体育会系の部活動をしていた人が
ほとんどです。「部活の時はそれで良いが、もう社会人なんだから、挨拶の仕方を考えなさい」
といくら注意しても、長年の挨拶の習慣はなかなか改まりません。
〈元気があるから、まあいいか〉と、心の中で妥協していたEさんでした。
ある日の研修会で「挨拶の実践で会社が変わった」という社長の体験談を聞く機会がありました。〈たかが挨拶くらいで…〉と思いながらも、Eさんは、その体験談に、
どこか引き込まれるものを感じました。
研修会が終わった後、講師に従業員の挨拶の仕方について相談したEさん。
その際、「Eさん自身はどのような挨拶をしていますか?」と問われ、
ハッと我が身を振り返りました。朝、従業員が自分に挨拶してくると、
「オース!」と返していたのです。
「挨拶のポイントは、真心を込めて、先手で挨拶をすることです。
社長から先に、正しい挨拶のお手本を示してください」と、講師にアドバイスを受けました。
翌日、Eさんは、照れくさい思いを振り切るように、「おはようございます!」
と元気に挨拶しました。従業員は最初、驚いた様子でしたが、時の経過につれて、
「おはようございます!」「ありがとうございました!」と、
爽やかな挨拶が返ってくるようになりました。
やがて半年が過ぎる頃には、その従業員の挨拶が、評判を呼ぶようになりました。
「荷物を頼むならE運送に」と声がかかるようになり、以前と比べて、
配送の依頼が二十五パーセントほど増えたといいます。
その変化に、Eさんは「たかが挨拶、されど挨拶。毎日の小さな積み重ねが、
大きな変化をもたらすのですね」と、挨拶の威力を痛感しています。
純粋倫理の学びは、頭で理解して終わりではなく、実践するところに意義があるのです。
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まずは自分からですね。
小さなことを日々積みかさねます。